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令和6年9月2日発行 第3519号 掲載

除雪機安全協議会の取り組み/小東代表幹事にインタビュー

 昨今、全国的にみると降雪量は少なくなっているが、局地的に大雪が降る傾向が強くなっている。除雪作業時の事故は、地域的な人口の減少、高齢化、作業の慣れによる油断、除雪機の安全装置の無効化など、様々な要因で起きており、中には死亡事故につながるものも出てきている。製造メーカーでは安全作業啓発のため日農工に除雪機安全協議会を設置し、独自の安全規格を作成して適合する機種に「SSSマーク」を添付したり、事故防止のチラシを配布するなど安全に対する啓発活動を推進している。同協議会は6月20日に開催された総会において、小東賢太氏(本田技研工業(株)二輪・パワープロダクツ事業本部二輪・パワープロダクツ開発生産統括部完成車開発部完成車設計課チーフエンジニア)が代表幹事に就任した。今回、小東代表幹事に就任の抱負、安全啓発への取り組み、協議会の活動などについて聞いた。
 ――小東代表幹事の経歴、自己紹介をお願いします。
 小東 2006年に入社して以来ずっと汎用製品の完成機の開発、設計を担当しています。開発してきた製品群は、耕うん機、除雪機、刈払機、水ポンプ、芝刈機などです。その中で、主に除雪機の開発に携わってきました。そのご縁で今回、除雪機安全協議会の代表幹事を拝命しました。
 ――入社以来開発部門におられるのですか。
 小東 入社して最初に担当したのは耕うん機でしたが、2年目からは様々な機種を担当しながら、除雪機の開発に携わりました。現在、弊社が販売している除雪機には、ほぼ全てに関わっております。
 ――昨シーズンの除雪機による事故の実態は。
 小東 除安協として把握している事故は8件。会員からの報告やニュースなどから集めたものです。基本的には事故の傾向にこれまでと違いはないと捉えていますが、今まで多数あった巻き込まれ関連の事故は減っていると感じています。
 ――これは、これまでの安全キャンペーンが浸透した結果だと思ってよろしいですか。
 小東 昨年の8件の事故の中には、例年多かった除雪機にひかれたとか挟まれたという事故は起きていません。これまで行ってきたデッドマンクラッチの普及や安全装備を無効化しないようにという、安全啓発活動の成果の一端が出てきていると思います。2004年から始まったデットマンクラッチの装着規格化から20年が経ち、使用されている除雪機も入れ替えが進んでいるのだと思います。
 ――事故の内容は。
 小東 8件中3件は、作業部に手を突っ込んで怪我をした事故。その他については火災が1件で、残りの4件は除雪作業と直接関係のない、移動中に交通事故に遭ったなどというものでした。実際、除雪機を稼働して起こった事故は4件、死亡事故はゼロでした。
 ――昨年が1つの転換点になるといいですね。
 小東 そうですね。この傾向が今後も続くことを願っています。
 ――安全作業への具体的な取り組みとしては、啓発活動が基本になりますか。
 小東 はい。やはり安全への意識や安全作業の大切さというものは、継続的にしっかり啓発していくことが大切だと感じています。安全規格の採用後に、皆さんが使用する農機が新規格搭載のものに置き換わる期間を必要とするように、お客様の安全意識というものも浸透していくのに時間がかかると思います。継続的な啓発活動、安全のPR活動が大切だと考えています。今後もこれまで行われてきた活動をしっかりと継続していきたいと思います。
 ――除雪機に限らず、最近農作業事故が多いですが。
 小東 除雪や除草などの作業を目的にしている機械は、作業ができることが大前提です。そのため作業部がどうしても外に出ているため、意図せぬ事故、たとえば作業中に誰かが飛び出して来た時だとか、足場が悪く転んでしまった時など、事故に遭いやすくなってしまいます。作業機の使い勝手と、安全を両立させることが課題となっています。
 ――使用者の意識も重要ですね。
 小東 実際に機械が完全に安全ですとは言えません。除雪機でいいますと、作業部に雪が詰まることがありますが、当然取り除かなくてはいけません。手で取り除くことは大変危険ですので、除安協としても除雪機に雪かき棒を標準装備することを、ルールとして決めております。
 実は、この雪かき棒の装着規格というのは世界的に見ても日本だけが取り組んでいる安全規格です。アメリカやヨーロッパにも当然、除雪機の安全規格が存在し、基本的には日本と同じような規格になっていますが、雪かき棒の装備規格はありません。業界団体全体できちんと規格していることに大きな意味があります。
 ――デッドマンクラッチはよくガムテープなどで巻いて、無効化して使用する例もありますが。
 小東 デッドマンクラッチに代表される安全装備を無効化して起こる事故は、これまでよく報告されていました。我々も安全装置を無効化しないように啓発してきましたし、製品に注意喚起のラベルを貼りつけるなどPRもしています。昨年は雪が少なかった影響もあったのか、そういった挟まれ等の事故報告はなかったのでよかったなと思っておりますが、今後も我々が行っている安全規格の効果をしっかりと見極めていきたいと考えています。
 ――ユーザーの高齢化も課題となっておりますが。
 小東 高齢者の方々は、昔から継続して使用している方がほとんどです。古い機械から新しい機械に買い替えた時に、操作を戸惑わないようにすることが大切です。これまでと全く違う操作が必要な機械を開発した場合、操作に戸惑い、かえって事故を増やしてしまうかもしれない。これまでの技術を踏襲しつつ、新しい技術で操作性、安全性などを高めていくことが必要であると、一開発者として私は思います。
 ――啓発の方法は。
 小東 例年行っているチラシやポスターでの安全啓発を降雪地域中心に継続的に行っていきます。除安協会員メーカーの販売店、展示会等でのポスター掲示、チラシの配布をしていきます。また、各自治体にも協力いただけるよう働きかけていきます。
 ――近年の除雪機の傾向は。
 小東 近年発売される除雪機は、搭載しているエンジンの出力がだんだん上がってきており、少しずつ馬力がアップしています。除雪機自体の進化が進むにつれ、安全対策も進化させなくてはならないと思います。
 ――電動化についてはどうですか。
 小東 将来的には除雪機も二輪・四輪同様、電動化が進むと思います。しかし基本的にはパワーユニットが変わるだけであって、安全な使い方をしてもらわなくてはいけません。電動化になったとしても、安全思想は変わりません。
 ――安全規格については。
 小東 3年前に規格の改訂があり、昨年度出荷分から350キロ以上のすべての機械に新規格が適用されました。新規格導入による安全性の効果が今後どう出るかを注視していきたい。その後、どういった安全対策が必要となるのかの見極めを行っていくことになるのだろうと思います。
 ――ネット販売やアウトサイダーについては。
 小東 除雪機は使用するシーズンが限定されているためシーズン前のメンテナンスが重要です。ネット販売という観点で言いますと、購入後の定期的なメンテナンスが課題となります。メンテナンスの重要性を伝え、しっかりと実施してもらい、安全に使ってもらえるようにしたいと思います。また、海外からの輸入については業者やメーカーなど色々あると思いますが、日本で除雪機を販売している方々であれば、一緒に安全啓発を出来ればと考えています。基本的には、一緒にやりませんかという声掛けをさせてもらっています。実際に、ここ数年新しく会員に入られた企業様もおられます。
 ――最後にこれからの意気込みを。
 小東 これまで諸先輩方がやってこられたことを引き継いでやっていきたいと思います。安全啓発、安全への意識をユーザーにしっかり持ってもらい、安全に使用してもらうためには、継続的な安全啓発活動が重要だと考えています。これまで先輩方がやってこられた安全啓発というところは逃さず、継続的にしっかりやっていけたらと考えております。またそれと同時に、除雪機の安全規格についても今後の進化が必要だと考えており、開発者として必要な進化が実現できればいいなと思います。我々は名前の通り安全協議会ですので、除雪機を安全に使っていただくためにどうすればよいかという考え方はブレずにやっていきたいと考えています。
 ――我々も微力ながら応援させていただきます。協議会の今後の活発な活動と成果を期待しております。本日はありがとうございました。
 【除雪安全協議会会員企業】
 井関農機(株)、(株)Willbe、(株)オーレックR&D、(株)クボタ、(株)コンマ製作所、(株)ササキコーポレーション、ハイガー(株)、フジイコーポレーション(株)、本田技研工業(株)、ヤナセ産業機器販売(株)、ヤマハモーターパワープロダクツ(株)、ヤンマーアグリ(株)、八鹿鉄工(株)、和同産業(株)。(五十音順)

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