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令和6年9月2日発行 第3519号 掲載

林業イノベーションを実現/林野庁小坂次長の講演

 林業イノベーションの実現に向けた取り組みが何故重要か―林野庁次長の小坂善太郎氏は6月21日に開催された令和6年度林業機械化協会の定時総会後に「森林・林業における近年の動向と林業イノベーションの実現に向けた取組」と題して講演し、現状を紹介するとともに改めて取り組む意義、役割を強調した。
 林業のイノベーションは、労働生産性と収益性を高めていく上で必要なものだ。小坂氏によると、林業の現場では、機械化が進む一方で、立木を手作業で計測するため、多くの労力を必要とする「森林調査」をはじめ、チェンソーで実施する「伐倒作業」、人力に頼っている「苗木の運搬、植付け作業」、そして人手に頼る夏場の「下刈り」と人力作業が多い工程もまだ残っている。これらの工程の軽労化・効率化を進め、就労環境の改善と労働生産性の向上を図る対応が求められている。
 このため林野庁では、森林の経営管理の集積・集約化、路網整備の推進に取り組むとともに、新技術を積極的に活用し、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」の実現を目指し、各種の実証事業を進めている。
 特に、林業従事者の推移、「緑の雇用」事業等により新規就業者の確保に取り組んでいる中、課題となっている所得の向上、そして他産業に比べると高い労働災害の防止対策を考えると、林業イノベーションの展開は喫緊の課題となる。
 なかんずく、伐倒作業時の災害発生が最も多い「林業における死亡災害の作業別割合」、フォワーダごと道路から転落する災害もある「車両系集材作業の死亡災害の要素作業別割合」や1人で行うことが多く、発見遅れになりやすい「架線系集材作業の死亡災害の要素作業別割合」などをみると、対応を迫られる。
 こうした事態を打開するため林野庁は林業イノベーションの展開方向として、「記憶から、デジタル記録の森林管理へ」「経験から、ICTによる生産管理へ」「林業の安全性・生産性の向上(生産)」「丸太オンリーからの脱却(マテリアル利用の開拓)」「収穫50↓30年に」を打ち出し、各種の取り組みを展開中だ。
 スマート林業の導入実証事例としては、森林資源の把握として「地上レーザ計測による単木解析」。ICTの活用により従来方法より68%省力化されている。また、「ドローン画像による単木解析」では、航空レーザ計測の地形データと汎用ドローンによる画像解析により、単木ごとの樹種、樹高、位置などを計測し、81%の省力化と36%の費用削減を実現。
 木材生産の計画・管理では、施業提案システムでICTを活用。解析したデータをもとに、施業計画などを可視化した。
 そして伐採では、ICTハーベスタを活用。細りの予測から生産価格が高まる径級や長さなどを提案する「バリューバッキング機能付きハーベスタ」を活用し、収益性が向上。スマートフォンを活用した木材検収システムで出材量の把握ができるようになっている。
 造林では、下刈り作業における乗用式機械の活用が図られ、この他、林業の安全性・生産性の向上に資する技術として、▽伐倒作業の遠隔操作化▽架線集材作業の自動化・遠隔操作化▽路網集材作業の自動化▽下刈り作業の自動化などが登場し、林業現場の施業のあり方を革新している。
 こうした状況を説明した小坂次長は、この他に林業機械の自動化・遠隔操作化に向けた開発・実用化状況をはじめ、林業分野における衛星・通信技術の活用状況(GNSSによる自己位置情報の把握・森林内で活用可能な通信技術)や林業イノベーションを推進するために必要な組織・人材・情報が集まる場として開設した「森ハブ・プラットフォーム」の活動などを紹介した。

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