脱炭素へ住友大阪セメントと材木育苗/オムニア・コンチェルト

住友大阪セメント(株)(諸橋央典社長・東京都港区東新橋1の9の2 汐留住友ビル20階)はセメント業界初の試みとして、栃木工場バイオマス発電所(栃木県佐野市)の排気ガス中のCO2を利用した「BECCS育苗システム構築」に向けた実証実験を(株)オムニア・コンチェルト(藤原慶太社長・東京都港区高輪3の11の3 イハラ高輪ビル6階)と共同で着手した。BECCSとは、Bio-Energy with Carbon Dioxide Capture and Storageの略。バイオマスエネルギーの利用と、二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する技術(CCS)を組み合わせたものを指す。
会見では住友大阪セメントのセメント・コンクリート研究所長/サスティナビリティ推進室長である小堺規行常務執行役員が概要や実証に至った経緯などを説明した。住友大阪セメントは、スギの人工林の少花粉品種への転換と木材の需要逼迫への対応に向け、オムニア・コンチェルトのCO2施用をコア技術とした自動環境制御による林木育苗の栽培方法を用いた実証実験を開始。将来的には、苗木の育成や木材需要への対応の他、農林業の再生、地域の雇用創出に貢献していくなどのビジョンを掲げた。
実証内容としては、住友大阪セメントの栃木工場の電力供給を担う木質バイオマス発電所からの排ガスを浄化装置とコンプレッサーで浄化・圧縮し、CO2として木製の少花粉苗木栽培用ハウスに施用することで促成栽培を実施。CO2非施用ハウスと施用ハウスで比較し、その効果や成長の違いを検証し、排ガス利用の有効性を確認する。有効性が認められれば、BECCSに当たるネガティブエミッション技術(NETs=温室効果ガスを回収・除去する技術)の1つとみなすことができることから大気中の炭素を除去するカーボンオフセットに当たる。
この取り組みは、1つのセメント工場の使用電力を自社の木質バイオマス発電によるグリーン電力で供給できる同社独自のカーボンニュートラルに向けた新しい姿として、セメント業界としては初となる。また同社が掲げる2035年に向けた中長期ビジョン「SOCビジョン2035」に、カーボンビジネスとして位置付け、CO2や廃棄物の資源化を目指す。この取り組みはその一環。
実証に使用する環境制御や木製ハウスの技術については、オムニア・コンチェルトの藤原社長が説明。ハウスには遠隔無線制御が可能な環境制御装置を備え、ハウス内温度や湿度、CO2濃度、灌水の自動管理・制御やLEDによる長日処理、可動式太陽光パネルを搭載した遮光ブラインドの開閉なども自動管理でき、かつ太陽光パネルの発電を利用して、ハウス内機器の電力も賄うことができる。制御盤や3D遠隔監視システムについては、同社の潘博文取締役が紹介した。
住友大阪セメントは栃木工場で、CCU(=炭素回収・利用)技術を活用した人工石灰石の生産拡大を行うなど、カーボンニュートラル達成に向けた様々な施策を打ち出している。小堺常務執行役員は今回の取り組みについて、「脱炭素は1つの手段で達成されるものではなく、数百にのぼる手段を組み合わせることで達成できるか否かといった大変な難題。脱炭素に向けた取り組みを1つでも多く実行していく必要がある。またバイオマス発電所は国内に1000カ所以上あり、今回の取り組みが1つのモデルケースになれば、スケールメリットを活かすことで大きな効果を発揮し得る。今回の実証はそのための1つの重要な可能性である」と述べた。









