スマート林業の実装ビジョンを公開/林野庁
林野庁は3月30日、林業イノベーションを推進するための「スマート林業技術の現場実装ビジョン~林業の現場に新しい選択肢を」と「木質系新素材の社会実装ビジョン~森林発!次世代のバイオマス化学産業をつくろう」を策定し、公表した。新ビジョンは林業の課題解決に資する「スマート林業技術」を広く定着させること、新たな高付加価値用途である木質系新素材の社会実装を目的として策定。スマート林業・木質系新素材の必要性、目指すべき将来像と必要な技術、今後5~10年かけて実施されるべき取り組みなどを取りまとめたものであり、周知を図っていく。
労働安全の確保や労働生産性、収益性の向上等に向けた新技術の現場導入を加速するために、令和元年12月にイノベーションによる林業の将来像と技術開発の現状、課題等を整理した「林業イノベーション現場実装推進プログラム」を策定し、令和4年7月には、技術の進展状況等を踏まえてプログラムをアップデート。
これまでの取り組みにより、複数の遠隔操作林業機械の実用化と林業現場への導入やデジタル技術を活用した地域拠点の創出、スギ材を原料とした新素材「改質リグニン」の大規模製造技術の実証やセルロースナノファイバー(CNF)を用いた木材保護塗料の製品化などを実現し、着実に進展した。
他方、実用段階に至ったスマート林業技術の安全性確保や木質資源の付加価値の高い利用に向けた技術の多様化等の新たな課題が顕在化。これを踏まえ、施策の体系が異なる「スマート林業技術」と「木質系新素材」に再編した上で、それぞれについての新たなビジョンを策定した。
このうち「スマート林業技術」の新ビジョンについては、はじめに「スマート林業の必要性」として、我が国の林業現場における▽労働安全の確保▽労働負荷の軽減▽労働生産性の向上―という課題を明示した。
その上で「スマート林業技術を実装した林業の将来像」として、課題解決を図るための林業の新しい姿と、そのために必要となる技術を提示。さらに「スマート林業技術の現場実装に向けて」として将来像の実現に向けて実施されるべき取り組みを明記した。
特に新ビジョンでは、スマート林業の必要性と林業の将来像を示した上で、林業DXとともに、伐採・搬出におけるスマート林業技術の実装として、作業システムを緩傾斜(おおむね傾斜0~20度程度)、中傾斜(おおむね傾斜10~30度程度)、急傾斜(おおむね傾斜25~35度程度)、事業規模(1万立方㍍/年程度未満)とに分けて例示。
また、造林におけるスマート林業技術の実装を載せるなど、実装ビジョンの副題に「林業の現場に新しい選択肢を」と掲げた通り、新たな技術の開発・実証やその導入環境整備等を進めることを通じて、既存の技術に替わり得る新たな選択肢として林業現場に示し、現場での推進を図る、としている。スマート林業技術を備えている林業機械、機器の普及を加速させていく。